CAD/CAM/CAEソフトには、大まかにわけて下記のような導入形態があります。
- オンプレミス
- クラウド
導入形態によって初期費用やランニングコスト、運用のしやすさなどが異なるので、どちらの種類のソフトを購入すればいいのかわからない担当者もいるのではないでしょうか。
そこで、今回はCAD/CAM/CAEソフトの代表的な導入形態、オンプレとクラウドを徹底比較しましたので、購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
オンプレミスでCAD/CAM/CAEソフトを導入する3つのメリット
オンプレミスとは、サーバーなどのハードウェアを自社で用意したり、アプリケーションをパソコンに直接インストールしたりして利用するソフトウェアのことです。従来においては、この導入形態が一般的となっていました。そして、今でもセキュリティ対策を重視する企業で使われています。
まず、オンプレミスを選ぶことで企業が得られるメリットを3つご紹介しますので、ぜひチェックしてください。
強固なセキュリティを実現
強固なセキュリティを維持し、安全にデータを運用できる点がメリットです。
オンプレミスは社外と通信する必要がなく、社内ネットワークですべてのサービスを利用できます。外部との通信を遮断すれば、悪意ある第三者が侵入する心配がなく、安全性が非常に高いです。
また、外部との通信が必要ないため、パフォーマンスが高いことも大きな魅力です。通信速度が遅いことが原因で画面が固まったり、待ち時間が多くなったりする心配がないので、スムーズに作業を進められます。
連携がしやすい
親和性が高く、連携しやすい点がメリットです。
オンプレは社内の基幹システムや業務アプリケーションと連携することができます。その理由は、自由にシステムを追加したり、統合したりすることができるからです。既存システムとの連携に重要性を感じる企業ではオンプレミスが選ばれることもあるでしょう。
カスタマイズ性に優れている
カスタマイズが優れている点もメリットとして挙げられます。
使用するハードウェアなどを自由に選択することができるため、自社の要望通りのCAD/CAM/CAEソフトを実現することが可能です。また、不具合等が生じた際は社内のエンジニアを利用してアップデートすることもできます。オンプレであれば自社独自のソフトウェアを導入することができるので、大きな魅力のひとつになるでしょう。
クラウドを利用する3つのメリット
クラウドは、インターネットを通じてサービスの利用が可能な導入形態を意味します。“クラウド”という言葉は私達の生活において非常に身近な存在になりました。実際に、普段から利用している方もいるのではないでしょうか。
クラウド型のCAD/CAM/CAEソフトを導入することで得られるメリットは3つあります。それぞれのメリットについて解説しますので、オンプレとぜひ比較してみてください。
初期費用を抑えられる
1つ目のメリットは、初期費用を抑えることができる点です。
サービスによっても異なりますが、クラウドはサブスクリプションモデルを採用しているアプリケーションが多く、初期費用が安く見積もられているケースも珍しくありません。その代わりにランニングコストがかかりますが、初期投資を抑えて導入できるので大きなメリットになるでしょう。
運用管理の手間を削減
2つ目のメリットは、運用の手間を少なくできることです。
基本的にクラウドはオンプレと異なり保守を完全に委託できるケースが多くなっています。これにより、保守のために社内エンジニアを確保したり、不具合が発生するたびに外部の業者に委託したりする必要がないため、非常に便利です。
好きなときに好きな場所から利用できる
3つ目のメリットは、場所や時間に縛られないことです。
多くの人もご存知の通り、クラウドは好きな場所から好きなときに利用することができます。例えば、社内からだけでなく、自宅やカフェからでもアクセスすることが可能です。
現在は感染症の観点からテレワークを取り入れる企業が増えました。クラウドはテレワークという働き方をサポートしてくれるため、それが理由で選択されるところも少なくありません。
オンプレミスの注意点
数多くのメリットがあるオンプレですが、逆に注意点も存在します。考えられる注意点を2つご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
導入時の負担が大きい
オンプレミスはクラウドに比べて導入する際の負担が大きいです。
導入に必要な初期費用が高く、十分な予算を確保することができない企業にとって導入ハードルが高くなっています。また、導入に必要な時間も長いため、その点においても負担が大きいです。
災害などに弱い
オンプレミスは災害に弱いです。
ハードウェアなどサービスに必要なものはすべて自社で管理します。そのため、火災や地震などが発生して影響を受けるとサービスを使い続けることができなくなる恐れがあるでしょう。
また、障害時の対応は自社で行ったり、ベンダーに委託したりする必要があります。そのため、管理費用の負担も大きいです。
クラウドの気をつけるべき点とは?
次に、クラウドの注意点について解説します。オンプレミスと比較して自社に適切なアプリケーションを選択してください。
連携がしづらい
1つ目の注意点は、連携がしづらいことです。
クラウドは社外にあるシステムを利用するため、社内システムと連携できないこともあります。そのため、導入する際は下記の点を確認するのがおすすめです。
- 基幹システムや業務システムと連携する必要があるか
- CAD/CAM/CAEソフトが連携に対応しているか
- カスタマイズが可能かどうか
クラウドはオンプレに比べて連携性が劣りますが、カスタマイズによって対応できたり、連携を想定して開発されたアプリケーションもあったりします。すべてのクラウド型CAD/CAM/CAEソフトが連携できないというわけではないので注意しましょう。
セキュリティの懸念
2つ目の注意点がセキュリティです。
すべてのクラウド型CAD/CAM/CAEソフトはセキュリティを意識して開発されており、利用するだけでセキュリティの脅威に晒されるというわけではありません。しかし、クラウドはインターネット通信によってサービスを利用するため、一定のセキュリティリスクが存在します。そのため、セキュリティに注意を払った運用が必要です。
オンプレミスが向いている企業の特徴
オンプレミスが向いている企業の特徴は下記の通りです。
- 予算があり自社に最適なCAD/CAM/CAEソフトへカスタマイズしたい
- セキュリティを重視したい
それぞれの特徴について解説します。
自社独自のアプリケーションを利用したい
オンプレミスは、CAD/CAM/CAEソフトを自社に最適化し、運用を開始することができます。十分な予算を確保する必要がありますが、基幹システムや業務システムと連携させられるため、自社独自のカスタマイズされたアプリケーションを使いたい企業におすすめです。
セキュリティを重視したい企業
セキュリティを最優先にしたいという企業はオンプレミス型のCAD/CAM/CAEソフトがおすすめです。オンプレミスはインターネットを介さずにサービスを利用することができるため、クラウドと比較してセキュリティが強くなっています。普段から重要なデータを扱っている、外部に情報が漏れると計り知れない被害を受けるという企業はオンプレミスを検討しましょう。
クラウドが最適な企業とは?
オンプレミスではなく、クラウドが適している企業の特徴は下記の通りです。
- 初期費用を抑えたい
- 運用に柔軟性を持たせたい
それぞれの特徴について詳しくご紹介します。
初期費用を抑えたい
初期費用を抑えたいと考えている企業にクラウドは最適です。
クラウドはオンプレミスに比べて初期費用が安く、導入しやすくなっています。そのため、クラウドは中小企業など予算に余裕がない企業でも選択しやすいでしょう。
運用に柔軟性を持たせたい企業
運用の柔軟性を重視したい企業にクラウドはおすすめです。
クラウドは外部からのアクセスが容易になるため、運用の利便性が高くなります。また、端末を選ばないため、パソコンだけでなくスマホやタブレットからアクセスできるアプリケーションもあるでしょう。さらに、保守管理の手間が少ないため、自社で対応することができない企業も選びやすいです。
まとめ
今回は、CAD/CAM/CAEソフトでクラウドとオンプレミスを徹底比較しました。両者にはメリットと注意点があり、導入を検討しているそれぞれの企業で好みのものが異なるでしょう。また、それぞれの導入形態でどのような企業におすすめなのかについても解説しましたので、選択に迷っている方はぜひ参考にしてください。